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「マージナルドナー」を活かす道

2008/10/25 22:10

 

 20.10.28追記

最後に「瀬戸内グループ支援ネット」の関連記事にリンクしました。

 

 

 

 

「マージナルドナー」を活かす道

 

 

 

 

マージナル【marginal】

大辞林によると、

[形動]周辺にあるさま。境界にあるさま。また、限界であるさま。「―な位置に身を置く」「―コスト(=限界費用)」

 

皆さん、「マージナルドナー」という言葉をご存じでしょうか。

直訳すると、「境界にあるドナー」ということになりますが、もっと平易な言い方にすれば、ドナーとなれるのかぎりぎりのところにある臓器もしくはその提供者という意味だそうです。

 

臓器移植には、よくこの「マージナルドナー」という言い方が、医師等の専門家の間では使用されています。

 

私が初めてこの医学用語を聞いたのは、平成19年11月25日宇和島市で開催された、修復腎移植に関する講演会での広島大学難波肱二名誉教授のお話でした。

 

 

その講演の中で難波教授は、「日本移植学会の前理事長は、肝臓移植のマージナルドナーの有効性・活用について、自ら論文を書いたり推進をされていたが、万波医師の修復腎移植の問題が出たとたん、腎臓はだめだと・・・、肝臓がよくて腎臓はいけないと・・・」「・・・理事長は、カナダ(カルフォルニア大)のバスティ教授と3年前に、病気の肝臓を使おうという論文を一緒に書いているのですよ。自分が病気の肝臓を使う、そう言っていて、万波医師はいけないというのはおかしな話ですね。・・・」と言うような内容のお話をされたことを今でもはっきり覚えています。

 

フロリダ大学藤田士朗准教授は、ご自身の寄稿の中や講演の中でのアメリカでの移植事情について、例えば次のように、マージナルドナーについて説明されています。

 

http://hiro110732.iza.ne.jp/blog/entry/128816/

 

(一部抜粋)

B型肝炎や梅毒陽性患者からの移植 

この件に関しては、正確な情報が分からないので、意見は差し控えますが、HBs antibody, HBc antibody 陽性だと行っているのならば、これは過去の感染を示しているだけです。また、梅毒の抗体検査のことをさしているのならば、多く疾患で生物学的擬陽性反応を示すこともあるので、真実の感染を意味しているのか、慎重に判断する必要があります。さらに、あえてのべれば、アメリカでは、たとえ、これらが陽性でも、その腎臓、肝臓を移植に用いています。なぜなら、 B型肝炎や梅毒には良く効く治療薬が既にあるからです。 
このように、調査委員会の報告は、はじめから病気腎臓移植を認めないという結論ありきの報告であり、それは、その報告がだされる前から、その方向性がマスコミで語られていたことからも明らかです。・・・・」

(注:新聞報道に対して)

 

「・・・そのため、移植数を増やすのが緊急の課題とされ、アメリカにおいても、様々な試みが最近行われています。 

例えば、これまでは、ドナーとして考えていなかったドナーを使う試みが行われています。

ECD (Extended Criteria Donor )というカテゴリーが導入され、60歳以上のドナー や、50-59歳で、以下のうち2つをもつもの(死亡原因が脳血管障害、クレアチニンが1.5以上、高血圧の既往歴がある)を積極的に使おうとしています。これで約20%ドナーが増加する期待されています。(これは端的に言えば、いわゆる病気腎臓です) 

(中略)
「さらに、以前では病気を伝播させる可能性があるので、やられていなかった、感染症にかかった腎臓も今では、普通に用いられています。もちろん、治療法の確立していない
エイズやウエストナイルウイルス、狂犬病などはだめですが、効果がある治療法があると考えられている一般のバクテリア感染症(日本では、法定伝染病に含まれている髄膜炎菌すら含んでいます)はもちろんのこと、B型肝炎、 C型肝炎なども、レシピエント側の抗体の有無に寄りますが、普通に移植されています。(これも、いわゆる病気腎臓ですよね) 
これまで、
アメリカではあまり行われてこなかった心臓停止後のドナーも最近増えてきています。これに関しては、はるかに日本の方が進んでいましたが、日本移植ネットワークが介在するようになり、むしろ、その数が日本では減少しています。・・・」 

 

 

以上のようにアメリカでは、かなり前から臓器移植の拡大を図るための様々な取り組みがなされているようです。

 

ところで今年の9月19日から三日間、大阪で「第44回日本移植学会総会」が開催されました。

 

その一般口演や特別講演等の抄録が、学会のホームページに掲載されていましたので読んでみました。

 

二百数十ページに及ぶPDFファイルですが、その中には、肝臓移植、肺移植、腎臓移植等のマージナルドナーの活用・推進についての報告があります。

医学に素人ではありますが、分かる範囲で下記に拾い出してみました。

 

大変興味深い内容であります。

特に肝臓移植などは、マージナルドナーからの移植が試みられており、現在認知されているというドミノ肝移植もその一つと言えましょう。

腎臓移植、肺移植などもマージナルドナーの移植が報告されています。

 

この学会報告の症例の是非について、医学的素人の私には残念ながら説明はできませんが、ただ単純に分かることは、肝臓移植、肺移植、腎臓移植など、現場の医師は、日本での絶対的臓器不足の中で尊い臓器を有効活用したい、患者を一人でも多く救いたいとの思いから、懸命にマージナルドナーからの移植に取り組んでいるあるいは試みていることです。

 

東京医科大学では「Hbs抗原陽性ドナーから陰性レシピエントへの生体腎移植3例」、いわゆるB型肝炎陽性ドナーから陰性のレシピエントへの移植も行われています。「HBVキャリアのドナーからの腎移植は禁忌とされているが、慎重な治療戦略により安全に施行しうると考えられた。」との報告です。

 

言いたいことは、万波誠医師らが行った病気腎移植は、言い方を変えればこれら報告の「マージナルドナー」からの移植症例と本質的には同じではないかということです。

 

 

そして、今回報告されている大学病院の医師や教授が行った病気肝移植、病気腎移植とも言える症例は、患者のためにと医師のしたことだから・・・と「是」「善」として私は捉えています。いわゆる実験的な医療ではないのかと思うような報告も随分あるのだなあとも感じますが、いずれは近い将来に多くの患者のために通常の医療として実施されるようになると信じております。

 

 

ただそれなのに、万波医師らの行った修復腎移植が、はじめから学会幹部により否定されてきた不公平さだけは絶対に許せるものではありません。

 

日本移植学会にも所属せず(正確には途中でやめた)、学会発表もしてこなかったことへの一種のいじめ、嫉妬であるとの同業医師・専門家の指摘は納得せざる得ません。

  

学会は万波誠医師らの「修復腎移植」を、マージナルドナーを活かす道としては考えられないのでしょうか。考えないのでしょうか。考えてほしいものです。

 

 

今後の裁判においては、学会幹部の言ってきた見解の矛盾点や当初の否定ありきの報道経緯についても、しっかりと検証を行ってもらいたいものだと思っています。

 

 

 

 

平成20年9月19日(金)~21日(日) 大阪国際会議場

 

第44回日本移植学会総会

 

http://www.congre.co.jp/44jst/pg.html

 

 

抄録

一般演題(口演)

http://www.congre.co.jp/44jst/pdf/shoroku_ippan.pdf

 

特別講演 

http://www.congre.co.jp/44jst/pdf/shoroku_tokubetsu.pdf

 

 

 

S3-2 脳死肝移植におけるドナー選択の検討

 

北海道大学大学院医学研究科 置換外科再生医学講座

○谷口 雅彦、山下健一郎、鈴木 知己、嶋村  剛、神山 俊哉、松下 通明、古川 博之、藤堂  省

 

背景

脳死ドナーからの臓器移植数が極めて少ない本邦においては、ドナーの尊い臓器を有効に利用することが必須である。脳死肝移植におけるmarginal donorとして高齢者ドナー、脂肪肝、肝内病変、脳死前心肺蘇生の影響等の問題があるが、臓器の移植適応の判断は各移植施設に委ねられている。

目的

教室においてこれまで経験した脳死肝移植症例を通して、脳死肝移植におけるドナー選択、特にmarginal donorについて検討する。

対象と方法

2001年1月から200 8年7 月までに教室にて経験した脳死肝移植11 例を対象とした。ドナーの年齢、肝機能、肝内病変、その他脳死判定前の臨床経過等を検討した。

結果

ドナーの性別は男性5 名、女性6 名、年齢は平均37.1歳(最高58歳、最低22歳)であった。平均BMIは22.0(最高28.1、最低18.6)、人工呼吸器装着から臨床的脳死判定までの平均時間11 4.9時間(最高

288時間、最低32時間)、経過中の平均peak AST 1270.9 U/L(最高90 4、最低62)であった。脳死判定前における心肺蘇生施行例を2 例(心肺停止30分、50 分)に認め、経過中の血圧低下(最高血圧80mmHg以下)を他の2 例( 8 時間、16 時間)に認めた。また、外傷性肝破裂(中心性)を1 例に認めた。いずれの症例もレシピエントの術後にprimary non functionを認めた症例はなく、ドナーの状態がレシピエントの移植後経過に影響を及ぼすことはなかった。

結語

脳死肝移植において、ドナー選択、特にmarginal donorの臓器の選択判断は臨床経過、データ、さらに術中所見、肝生検所見等の詳細かつ慎重なる検討が必要不可欠であるが、その検討によりprimary graft failureを起こすことなく、安全に脳死肝移植を行うことが可能となり得る。

 

 

 

S3-4 わが国におけるマージナルドナーからの肺移植の成績と問題点、ドナー管理の効果

 

大阪大学医学部附属病院 移植医療部1、大阪大学医学部附属病院 手術部2、東京大学 胸部外科3、日本臓器移植ネットワーク4

○福嶌 教偉1、南  正人2、小野  稔3、芦刈淳太郎4、小中 節子4

 

「臓器移植に関する法律」が極めて厳格であるため、我が国の脳死下の臓器提供は非常に少ないのが現状である。そのため、肺移植をより多く行うためには、マージナルドナーの使用は不可避である。

このような現状で、当初から、我が国では移植施設自らがドナー心の評価を行い(胸部レントゲン、気管支鏡などで評価)、スタッフ外科医が肺の摘出を行っている。200 2年2 月からは、メディカルコンサルタントと呼ばれる医師が、二回目の脳死判定後に提供病院に赴き、ドナー心の評価と管理を行うようになった。これにより、評価のみの摘出チームの派遣は減少し、評価に要する時間も短縮できるようになった。ドナー管理は主に尿崩症を抗利尿ホルモンの投与により管理し、循環動態を安定させることを行っている。また、提供病院の医師の協力が得られる場合には、気管支鏡で的確に痰を吸引し、頻回に体位変換をしてもらっている。

1997年10月の法施行後から200 7年9 月16 日現在、脳死臓器提供者は72例あるが、42例のドナーから47例の肺移植が施行されており、米国(約16 %)よりはるかに高い提供率である。その内30例がマージナルドナー(膿性痰もしくは対側肺炎24例、肺挫傷3 例、血行動態不安定4 例、高齢(55 歳以上)8 例など)であった。早期死亡は5 例認めるが、明らかなprimary graft failureによる死亡は1 例であった。3 年生存率は各々 66 .9 %であり、諸外国に匹敵する成績である。ドナーの極めて少ない我が国ではこのようなシステムを構築し維持していくことが重要であり、それによりマージナルドナーの使用もさらに増加するものと考えられる。

 

 

 

030 B型肝炎に対する肝移植後およびHBc抗体陽性ドナーからの生体肝移植後のワクチン療法

 

京都大学大学院医学研究科 肝胆膵移植外科1、京都大学消火器内科2

○上田 幹子1、尾池 文隆1、小倉 靖弘1、小川 晃平1、高田 泰次1、江川 裕人1、丸澤 宏之2

上本 伸二1

 

【背景】B型肝炎に対する肝移植後、および、HBc抗体陽性ドナーからの肝移植後には、B型肝炎発症予防法が必須である。現在用いられているラミブジンやHBs抗体高力価含有グロブリン(HBIG)の定期投与は、肝炎発症予防に有効であるが、長期投与が必要で、高額でもあり、血液製剤の投与によるリスクもある。代替療法として、移植後にHBVワクチンを投与する能動免疫法を試みた。【患者と方法】B型肝炎に対して生体肝移植を受けた患者( 1 群)12人(22才~64才、中央値:50才)、およびHBc抗体陽性ドナーから生体肝移植を受けた患者18人( 2 群)( 2 才~64才、中央値15才)を対象とした。1 群ではHBIG投与を中止し、HBVワクチン40μg(小児では20μg)を、0 ,1 ,6 ヶ月目に筋注し、抗体産生が無い時には、これを2 コースおこなった。それでも抗体産生のみられない患者には、以後、毎月ワクチンを投与した。ラミブジンの内服は抗体産生がみられるまで継続した。2 群に対しては、HBIGを投与しながら、前者と同じプロトコールで、ワクチンを投与した。【結果】1 群の患者では7 人にHBs抗体産生がみられ、4 人はラミブジン投与も中止した。2 群の患者では11人に抗体産生がみられ、HBIG投与を中止した。【結語】B型肝炎に対する肝移植後およびHBc抗体陽性ドナーからの肝移植後のB型肝炎再発予防法として、ワクチン療法は、一定の患者において、有効であり、HBIGやラミブジンの中止が可能であった。

 

 

 

111 心停止下献腎移植におけるドナー腎機能の影響

 

国際医療福祉大熱海病院 移植外科1、東女医大腎外科2、同泌尿器3

○唐仁原 全1、岩藤 和宏2、矢嶋  淳1、南木 浩二1、小山 一郎2、田辺 一成3、中島 一朗2

渕之上昌平2、寺岡  慧2

 

【目的】脳死ドナーからの腎移植が一般的な欧米においても腎提供直前のドナー腎機能が低下を示す場合marginal donorとして移植実施が躊躇されることも少なくない。わが国では慢性的なドナー不足の状況下で、(一時的にせよ)高度に機能の低下した心停止ドナー腎も移植されてきた。ドナー腎のviabilityを判断する明確な基準はなく、施設ごとあるいは摘出チームの判断に委ねられているのが現状である。今回、心停止ドナー腎移植においてドナー腎機能と移植成績について検討した。【方法】1995年から2004年までに当施設で施行した心停止ドナーからの献腎移植117例中、ドナーデータの得られた112例について検討した。腎摘出直前のドナーCr値をCr < 2.0 mg/dl( 1 群)、Cr 2.0 -4.0 mg/dl( 2 群)、Cr > 4.0 mg/dl( 3 群)に分類し、比較検討した。【成績】腎摘出直前のドナーCr値は2.4 ± 2.3 mg/dlであった。全体の生存率、生着率は各々5 年;96%, 87%、 10年; 93%, 78%であった。1 群の入院時Cr値は有意に低かった。Immediate function graftは1 群に多かった。最小Cr値や拒絶反応の頻度に差を認めなかった。移植腎生着率は各群で同等であった。【結論】ドナー腎摘出直前のCr値の上昇は、移植後のレシピエント腎機能の予測因子とはならない。

 

 

 

113 臓器摘出前に急性腎不全を起こしたドナーからの献腎移植の検討

 

名古屋大学大学院医学系研究科 泌尿器科1、中京病院泌尿器科2、小牧市民病院泌尿器科3、岡崎市民病院泌尿器科4

○水谷 一夫1、服部 良平1、後藤 百万1、絹川 常朗2、上平  修3、山田  伸4

 

【目的】世界的なドナー不足の中で死線期にドナーの腎機能が低下し、移植が施行できない症例もある。ドナーの拡大のためこの死線期ドナーの腎機能の評価を名古屋大学泌尿器科移植関連施設の献腎移植症例を用いて検討した。【方法】1984年からの献腎移植のドナーの入院時、臓器摘出前の腎機能の判明している66例のうち移植腎機能が発現した62例に対しドナー死線期の血清Cr値が4 mg/dl未満群(LC群 54例)と4 mg/dl以上群(HC群8 例)にわけ検討を行った。【成績】LC群の入院時Cr値,死亡時Cr値は1.0mg/dl(以下単位略)、1.2、HC群のそれぞれのCr値は1.6、7.2で、入院時Cr値に有意差を認めなかったが、死亡時では有意差を認めた。(p<0.01) 移植後早期のATNはLC群では39例に、HC群では全例に認め、移植後の平均透析日数はLC群で9.6日、HC群は14.3日であった。

HC群にATNが多く透析期間が長い傾向が見られたが、有意差はなかった。退院時ベストCr値はLC群1.9、HC群1.5で、1 年後Cr値はLC群2.3、HC群2.6で両群に有意差は認めなかった。移植後機能発現がない4 例の入院時Crは08-1.1、死亡時Crは1.0-7.5だった。【結論】入院時の腎機能が保たれていれば死線期のドナーの腎機能低下群は死線期の腎機能良好群と比べて移植後透析期間や腎機能に有意な違いはなく、入院時の腎機能が良好であれば死線期における腎機能の低下症例でもドナーの適応となると考えられた。

 

 

 

118 当科におけるHbs抗原陽性ドナーから陰性レシピエントへの生体腎移植3例の経験

 

東京医科大学 外科学第五講座

○岩本  整、中村 有紀、濱 耕一郎、木原  優、城島 嘉麿、今野  理、葦沢 龍人、

松野 直徒、長尾  桓

 

近年、臓器不足が叫ばれるなか、さらなるドナー拡大の努力が必要である。今回我々は、Hbs抗原陽性ドナーから陰性レシピエントへの生体腎移植3 例を経験したので報告する。

(症例1 )61歳男性。ドナー:HBs-Ag(+), HBs-Ab(+), Hbe-Ag(-), HBV-DNA(TMA):4.1LGE/mL, レシピエント:33歳男性。HBs-Ag(-), HBs-Ab(-)。

( 症例2 ) ドナー:47歳女性。HBs-Ag(+), HBs-Ab(-),HBVDNA(TMA):3.7LGE/mL, レシピエント:49歳男性。HBs-Ag(-), HBs-Ab(-)。

(症例3 )ドナー:67歳男性。HBs-Ag(+), HBs-Ab(-), Hbe-Ag(-), Hbe-Ab(+), Hbc-Ab(+), HBV-DNA(TMA):3.7LGE/mL, レシピエント:41歳女性。HBs-Ag(-), HBs-Ab(-)。ドナーには全例術前にlamivudine100mg/dayを投与した。レシピエントは、症例1と2 にB型肝炎ワクチン、症例3 にB型肝炎ワクチン+抗HBs人免疫グロブリンを投与し全例HBs-Ab陽性として手術を施行した。症例1 は第20病日に脳出血の合併症で失ったが、症例2,3はB型肝炎の再発もなく現在まで経過良好である。HBVキャリアのドナーからの腎移植は禁忌とされているが、慎重な治療戦略により安全に施行しうると考えられた。

 

 

 

P-117 HBc 抗体陽性ドナーからの生体肝移植 術後B型肝炎と拒絶反応の鑑別が困難であった1例

 

慶應義塾大学医学部 外科1、同 小児外科2、同 病理診断部3

○高野 公徳1、田邉  稔1、河地 茂行1、日比 泰造1、篠田 昌宏1、森川 康英2、杜 ぶん林3、

坂元 亨宇3、北川 雄光1

 

症例は62歳男性。58歳時に他院にてアルコール性肝硬変に対し生体肝移植術施行された。ドナーは55歳の妻で、HBc抗体陽性であった。高力価HBs抗体含有免疫グロブリン(HBIG)投与目的で当院外来通院されるようになり、HBs抗体価200IU/Lを目安にHBIGを継続した。2 年が経過した頃HBs抗原が陽性となったためラミブジンの内服を開始した。HBs抗体価は100IU/L弱、HBs抗原は弱陽性で均衡を保つような状況がさらに2 年続いた。4 年目突然HBs抗体が陰性化し、DNA及びHBs抗原が上昇したためアデホビルの内服を開始した。DNA量は低下してきていたが、これまで一度もなかった肝機能障害を認め、精査加療目的で入院となった。 B型肝炎が最も疑われたため、肝生検を施行し、抗ウイルス治療及び免疫抑制を下げる方針で治療を開始した。しかし肝機能は改善せず、生検の結果は急性拒絶が最も疑わしいというものであった。もう一度肝生検を施行し、抗ウイルス薬は継続、拒絶に対してはステロイドパルス及びFK506の血中濃度を上げる方針で治療を行った。

その結果、肝機能は著明に改善し、ステロイドを漸減しても再度悪化することはなかった。しかし2 回目の生検はB型肝炎の所見がより強く認められるような結果であった。本症例は急性拒絶とB型肝炎の両者の病態をカバーするような治療を選択し、肝機能は改善されたが、その病態については不明な点が多く、示唆に富む症例だったので文献的考察を加え報告する。

 

 

 

P-154 マージナルドナー肺移植

 

福岡大学1、大分大学 第2 外科2、福岡大学 呼吸器科3

○白石 武史1、平塚 昌文1、樋口 隆男1、宗像 光輝1、久良木隆繁3、柳沢  純1、白日 高歩1

岩崎 昭憲1、川原 克信2

 

日本の脳死臓器移植における最大の問題はドナー不足。こ解決する為マージナルドナー臓器(MD)の移植が常に検討されている。第68例目脳死提供により実施されたMDからの右肺移植症例を提示。「症例」レシピエントは56歳男、肺線維症。ドナーはクモ膜下出血。発症後に高所より転落し肺挫

傷、誤嚥による両側下葉の広範な無気肺(右<左)。ドナー情報時のPaO 2 /FiO 2 =270mmHg、気管支鏡で両下葉支入口部に喀痰の貯留著明。しかしCT所見では両上葉には肺炎所見乏しく喀痰貯留による単純な下葉無気肺と判断。「肺移植術」ドナー開胸時、無気肺は伴うものの喀痰除去と送気で肺は良好に換気、右肺静脈血のPaO 2 /FiO 2 =330mmHg。移植可能と判断し右片肺移植実施。右下葉含気回復には一週間を要したが重篤な感染なく回復。抄録提出の時点で術後10日。PSも徐々に回復。「まとめ」ドナー不足の対策は生体移植とMD。症例経験を蓄積し利用可能なMDの移植受け入れ条件を考案する必要ありと考える。

 

 

 

 

※上記 118症例報告の関連

 

瀬戸内グループ支援ネット

B型肝炎ドナーからの移植について 

フロリダ大学移植外科藤田士朗准教授

http://www.setouchi-ishoku.info/article.php/20070511172317873 

 

 

 

 

  

 

 

 

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2008/10/28 22:42

国内外で進化する人工臓器の最前線(1)(読売新聞平成20年10月19日(日)朝刊から連載) [Because It's There]

 

最近、読売新聞は、「進化する人工臓器」というタイトルでの連載記事を始めました(読売新聞平成20年10月19日(日)朝刊から連載)。 ...